きみのおと



「ま、いいけど。じゃあ俺、帰るわ」




呆れたような声に胸が痛くなる。
せっかくできた友だち・・・なのに。
嫌われたくない。

でも、一歩が。
その一歩が。




「・・・はぁ。別に、いじめたいわけじゃねぇ。お前が喋ればもっと、楽しくなると思っただけだ。・・・じゃあな」




そう言い残して教室を出ていく。
じわっとこみ上げた想いが。

僕はごしごしと目元をぬぐう。



ハチマキの伝統・・・。
好きな人に応援の言葉をもらう・・・。




「・・・」





まだ、残ってるかな。
僕も。



僕も、欲しい。



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