きみのおと
僕の右足としぃちゃんの左足を結ぶ。
身長差があるから、しぃちゃんの手は僕の腰に。
僕は遠慮がちにしぃちゃんの肩に手を置いた。
「頑張ろうね!」
にっこりと笑って僕を見上げるしぃちゃんに、僕はコクリと頷いて答える。
「負けねぇし」
「は?てか、同じチームでしょ!同じチームで競ってどうすんのよ!走る順番だって違うのに」
「でも、負けねぇ」
芹川くんは、しぃちゃんに張りあうようにそう言った。
「芹川くん、頑張ろうね」
「ああ。ぜってぇ、勝つ」
榎並さんと芹川くんのやり取りを見ていて、なんだかすごく羨ましいと思った。
僕も、そんな風にしぃちゃんとやり取りが出来たら・・・。
く、と喉の奥が押しつぶされる感覚。
声を出そうと思うだけで、そうなってしまう。
なんて弱い僕なんだろう。