きみのおと
久賀くんは、それまで関心なく窓の外を眺めていた。
私が机の前に立つと、ハッとしたように顔をこちらに向ける。
教室の中の空気が少し変わったのがわかる。
彼の前に立った私を皆が伺ってる。
こういう空気は、好きじゃない。
誰も、触れようとしてこなかった。
でも、こういう時には好奇心を発揮して。
様子を伺うような。
そんな感じ。
嫌い。
「ね、友だちになろうよ」
私が彼に告げた言葉。
息をのんだ彼が顔をあげた瞬間に見えた、透き通るような綺麗な瞳。
私は、その瞳に捕らわれた。