きみのおと
準備が整い、順番にスタートしていく。
一進一退の状況に、一層応援は白熱していた。
ドキドキと、心臓が早鐘をうつ。
こんな目立つ競技に出るのなんて初めてだ。
でも、しぃちゃんと一緒だから。
順当に僕たちの順番は回ってきた。
位置について、深呼吸をする。
パァン!
とスタートの合図と共に足を前に繰り出していく。
「イチ、ニ、イチ、二!」
しぃちゃんの掛け声に合わせて足を前へ前へと送り出す。
しぃちゃんの息遣いが聞こえる。
少し先に他のチームの人の姿がチラチラと見え、走りを速める。
空が青くて、サンサンと太陽が輝いていて。
こんなに世界は綺麗だっただろうか。
見えてきたゴールテープ。
しぃちゃんと、あの場所まで。
最後まで走り抜く。
きっと、それがいま僕にできる最良の事。