きみのおと
心配そうな顔が私に集まる。
ほんと、心配かけちゃったな・・・。
窓際の一番後ろの席。
千秋くんはいつものようにそこに座ってた。
千秋くんにも、心配かけたよね。
お礼言わなくちゃ。
そう思って、千秋くんの席にそのまま向かう。
「千秋くんも、心配かけてごめんね」
そう言って声をかけると、千秋くんが小さく肩を揺らした。
泣きそうな顔が私を見つめ、なにか思い詰めたような表情を浮かべると突然立ち上がり飛び出して行ってしまった。
「え、千秋くん!?」
ざわつく教室内。
突然の事に、私も呆然と立ち尽くす。
え、どうして?
千秋くん、どうしてあんな顔・・・。
それに、どうして逃げたりなんか・・・。
「千秋くん、どうしたの?」
「・・・わからない」
私の声は聞こえていなかったらしい亜衣が不思議そうに近づいて声をかけてくる。
私、心配かけてごめんねって言っただけだった。
どうして?