きみのおと
ああなんて。
なんて、優しい人なんだろう。
優しすぎて、辛いよ。
「千秋くん。私のこの怪我で、千秋くんの事そんなに責めてたんだね。ごめんね」
私がそういうと、千秋くんはハッとしたように顔をあげ勢いよく首を横に振った。
「千秋くん・・・。私、この怪我で、誰の事も責めてないよ。確かに痛いし、不自由なこともあるけど、私の不注意だし。だから、千秋くんが自分を責める必要なんてないんだよ」
『でも、きっと、これから先、同じようなことがあったら』
「同じようなことがあっても。私は千秋くんを責めることなんて、一つもない」
あるわけないよ。
「だって、私が千秋くんといるのは、危険を察知してほしいとか、何かの役に立ってほしいとかじゃない。私が千秋くんといて楽しいから一緒にいたいの。友だちって、そういうものでしょう?」
ああ、なんと言えば伝わるんだろう。
千秋くんは、優しくて、純粋で、心が澄んでいて。
だからこそ、そうやって自分を責めて。
「千秋くん。私は、事情を知らないから、軽はずみなことは言えないんだけど。千秋くんが喋らないこと責めるつもりなんてないよ。悪いとも思わない」