きみのおと
なんで・・・
そう聞かれても、私も困ってしまう。
だって、その理由は私自身もわからない。
「友だちになるのに、理由っている?」
思わずそう答えると、久賀くんは黙ったまままたシャーペンを走らせた。
『だったら、他の人に声かけたらいいと思う』
拒絶。
久賀くんは、友だちになりたいとは思ってないってこと。
なんか。
なんか。
そう言われると、逆に燃える。
「私は久賀くんと友だちになりたくて、きたの。他とか今は考えてないよ」
まっすぐそう告げる。
前髪に隠れるその瞳が、揺れる。
固く閉ざされた唇が開くことは、ない。
「授業始まるからとりあえず戻るね。お昼、一緒に食べよう」
そう言って立ち上がると私は亜衣の元に戻った。