きみのおと
千秋くんは初めの頃より、大分表情が明るくなったような気がする。
微笑み程度だけど笑顔も見られるようになったし。
次第に細い路地に入り、必然と道の端に寄るため距離が縮まる。
気づけば、自然と千秋くんが道路側を歩いてくれていることに気づいた。
知れば知るほど好きになっていく。
千秋くんのさりげない優しさ。
どうして今まで誰も気づかなかったんだろう。
見せ掛けだけに騙されて、決めつけて。
見てこようとしなかったのかな。
私も。
最初、惹かれるものに気づかなかったら、今でも千秋くんの魅力に気づかないままだったのかな。
周りとおんなじように、暗くて話しかけづらいとか、当たり障りないようにしようとか思ってたのかな。
だとしたら、あの時の自分を褒めてあげたい。
今こうして千秋くんといられることが、私はこんなにも嬉しくて幸せだから。
千秋くんにとっての、友だちとしていられるだけで、嬉しいの。