きみのおと


そうしてやってきた千秋くんの家の前。
亜衣は部活だし、芹川くんは面倒くさいと逃げられた。


心配だからと張り切ってきたのはいいけれど、心拍数がやばい。
緊張マックスで、かれこれ5分はこうしてる。



いい加減いかなくちゃ。
かなり不審者だわ。



意を決してチャイムを押した。



しばらくしてパタパタと足音が近づいてくる。
ゆっくりと開かれた玄関にドキドキと胸が鳴る。



「はい。どちらさま・・・」



開かれた扉の向こうから現れたのは、小柄な綺麗な女の人。
エプロン姿で、お母さんだろうか。

その人は私の姿を見るなり、怪訝そうな顔を向けた。
え・・・?



身構えるようなそんな表情に戸惑う。
千秋くんと同じ学校の制服を着た人が訪ねてきて、そんな顔するだろうか?


女の子だから?
異性ってだけで、気になるものなのかな?



その人の表情に戸惑い言葉を忘れていた。
ハッとして頭を下げる。



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