きみのおと


「あ、あの、こんにちは。初めまして。千秋くんのクラスメイトの二ノ宮雫です」

「クラスメイト・・・。あの、なんのご用かしら?」



ものすごく、警戒されていることがわかる。
それを不思議に思いながら鞄の中から封筒を取り出した。



「あの、今日お休みだったので、プリントを届けに来ました」

「プリント・・・」

「あの、三者面談が再来週から始まるんですけど、そのプリントです」

「見てもいいかしら?」

「あ、はい」




言われるままに封筒を渡すと、目の前でその封筒を開き中を見た。
その瞬間、ホッとした表情になる。

・・・?
どうしたんだろう。



「あの・・・」

「あ、ご、ごめんなさい・・・。私、千秋の母です。失礼な態度だったわね。ごめんね」

「いえ・・・」




ホッとした表情の後は、穏やかな雰囲気になり笑顔を向けられる。
あ、千秋くんのお母さんだ。
笑った柔らかな雰囲気がとても似てる。




「あの、千秋くんの様子は・・・」

「え・・・。千秋の?」

「え、あ、はい。熱だって聞いて・・・」




心底驚いたような表情のお母さん。
いちいち反応が不思議。


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