きみのおと


「ちーくん、お友達の雫さんが来てくれたわよ」



お母さんが部屋まで案内してくれて中にいる千秋くんに声をかけてくれる。
千秋くん、ちーくんって呼ばれてるんだ。
なんだか微笑ましい。



「あけるわね」



そう言って戸を開けると中を覗き確認する。
その後、私に視線を向け扉を開き中へと促してくれた。



「私は下にいますから、帰る時には声をかけてね」

「あ、はい。ありがとうございます」




穏やかに笑うお母さんの目元は少し赤くて、少し胸が痛んだ。
どれ程の想いをこれまで抱えてきたんだろう。
わからないけど、だからこそ、胸が痛む。

そんな事を考えながら部屋の中へと足を進めた。

千秋くんの部屋はシンプルであまりものの多くない部屋だった。
部屋に入って右側にベッドがあって、そこに千秋くんは横になっていた。



「千秋くん、お邪魔します」



そう言うと、千秋くんがベッドからゴソゴソと起き上った。



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