きみのおと


千秋くんのお母さんに言った通り。
千秋くんの事を知れば知るほど、千秋くんの魅力に惹きつけられて、もっともっと好きになっていく。



『しぃちゃん、ごめんね?』



ああ、愛しいな。
そんな風に思えるなんてびっくりだ。




「仕方ないな、早く元気になって学校に来てね。千秋くんがいないと寂しいよ」

『うん。僕も、早く学校に行きたい。そんな風に思えたの、はじめてなんだ』




少しだけ知れた千秋くんの事。
それは、千秋くんの口から語られたことではないけれど。

いつか、千秋くんの口から聞ける日が来ればいい。
もし来なくても、それでもいい。


私は今の千秋くんを知ってる。




今目の前にいる千秋くんを大切にしたい。




例えば、それは友だちという立場でしかいられなかったとしても。
千秋くんの側にいることを選ぶ。



千秋くんのお母さんに伝えたあの思いは本当だから。



だから、だからね。
千秋くん。



もっと私の側で、笑ってね。



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