きみのおと
「おい、行くぞ。久賀」
芹川くんはしぃちゃんを相手にせず歩き出す。
僕は慌てて鞄を掴んで追いかけた。
「千秋くん、バイバイ!」
しぃちゃんの声に振り返り手を振った。
芹川くんと二人っていう状況に少し緊張する。
だって、はじめてだし。
芹川くん、僕の事面倒だって思ってるはずなのに。
芹川くんだって、僕と二人なんて楽しくないんじゃないかな・・・。
聞きたくても聞けないけど。
それに、楽しくないってわかってても、芹川くんの口から聞くのは怖い。
僕は弱虫だ。
それはずっと変わらない。
「ほんとは、朝一で行きたいんだけどな。あそこは開店が遅いから無理なんだよ。まぁサボってもいいんだけどな」
歩きながら芹川くんが言う。