きみのおと


いつものように呼び出されて、行かなければ余計に酷い目に遭う事を知っていた僕はしょうがなく体育倉庫に行った。




「よぉ、千秋ちゃーん」




馬鹿にしたような笑い声が胃をキリキリさせる。




「しっかり、愉しませてくれよな」




殴られた場所が悪かったのか、バランスを崩した僕が後ろにあった棚に体ごとぶつかる。
その棚が倒れ、僕は下敷きになった。


頭を打ち気を失い、落ちてきた何かで肩から二の腕をざっくりと切り、目を覚ますと病院のベッドの上だった。
泣き腫らした顔のお母さんの顔を今でも覚えている。


お母さんには、これまで何度もなにかあったんじゃないかって問いただされてた。
でも、僕はいじめられてるなんて心配かけたくないし、恥ずかしかったから何も言えなかった。



でも、この事がきっかけで、全部ばれたんだ。




そして、目を覚ました僕は喋ることをやめた。
もう、すべてが嫌になったんだ。


だって、何度訴えても誰もやめてくれはしなかった。
喋れば女みたいだと笑われて。




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