きみのおと
「お前の過去は、確かに辛いもんだったんだろうことはわかった。なんで喋らねぇのかも。お前が俺に対してオドオドしてる意味も」
僕はノートを握りしめ俯く。
僕が、芹川くんをあの不良たちと重ねてたことまで、気づいたんだ。
「確かに俺は、喧嘩っ早いし。口も悪いし、たぶん、お前にとってはそいつらと何らかわんねぇんだろうな」
『違う!最初は確かにそうだったけど。でも、今は違う。今は、あいつらと芹川くんが同じだなんて思ってない!』
僕は慌ててそう書いて見せると、芹川くんはケラケラと笑った。
「そんな慌てなくてもわかってるよ。お前見てたらわかんだろ」
僕を見てたら?
「最初のオドオドと、今のオドオドは違うってこったよ」
最初と、今のオドオドの違い・・・。
そんなの、芹川くんがわかってくれてるっていうのだろうか。
「今のは、会話をしたいけど、どうすればいいのかわからないって感じのオドオドだろ」
『そうかも。確かに、そうかもしれない。書くほどでもないかなとか、迷惑かなとか、いろいろ考えちゃってた』
自分でも、ハッとした。