きみのおと
「そんなに、嫌だった?一緒に食べるの」
首を振ることで返事を返してくれていた久賀くんは、その問いには黙り込んでしまった。
確かに、答えにくいよね。
面と向かって嫌だとは言い辛いだろうし。
「メロンパン、好きなの?」
握りしめちゃってるもんだから変形しちゃっているメロンパン。
久賀くんは、一層強く握りしめながらも小さく頷いた。
答えられることは、ちゃんと返事を返してくれる。
それがなんだか嬉しくてついついいろいろと質問を繰り返した。
両手にメロンパンを握りしめ時折強く握りながら食べていく様は、まるでハムスターみたい。
・・・可愛い。
なんて、高校生男子に対する感想じゃないよね。
「駅前にあるパン屋さんのメロンパン知ってる?」
首を横にフルフルと振る。
「私が食べた中では一番おいしいメロンパンなの。気になるでしょ」
そう聞くと、久賀くんは今までで一番大きく頷いた。
食いついた。