きみのおと


「でも、いくら昔の仲間がそんなクズばっかだったとして、今は違うだろ」



芹川くんがはー、と息を吐きながら空を見上げる。



「ほらアイツ・・・、二ノ宮も、あと榎並も。過去のそいつらが否定したお前をあいつらはいいって思ってんだから。だから、一緒にいんだろうし」



最近、すごく思う。
なんでみんな、僕なんかと関わろうとしてくれるんだろうって。

きっと面倒なだけなのに。



「お前とどうにか関わろうとして、そうやって筆談っていう方法を見つけたんだろ。そこまでしても仲よくなりたいって、思わせるもんがお前にあったってことだろ。自信持てよ」




思わせるもの・・・。
僕、そんなもの持ってるのかな。




「もしまたいじめられたらとか、そんな事で悩んでんなら。考えてみろよ」




悪戯っぽい笑顔で僕の方を見る。




「お前をいじめる奴なんかいた日には、二ノ宮のやつバットぐらい持って暴れるんじゃねぇの」



芹川くんはケラケラと声をあげて笑う。
しぃちゃんのその姿、思い浮かんでしまいそうで困るよ。

そんな事、もしあってもしてほしくないな。




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