きみのおと


「それに、忘れてねぇか?俺、クラスのやつらとか学校のやつらに、怖がられてること。最近はおとなしくしてるから、だいぶ気は緩んでるかもしんねぇけどよ」




そう言われて、頷いた。
皆、口をそろえて芹川くんの事を怖いって噂してた。

誰とも関わろうとしてなかった僕の耳にも入るほど。
現に、難癖をつけてきた男たちをあっという間に伸してしまったんだから。




「そんな俺と仲いいんだから。そんなお前を誰もわざわざいじめようなんて思わねぇよ。俺も含めて、お前が自分の手で掴んだもんだろ。そういうのを思い切り使ってりゃいいんだよ。虎の威でも俺の威でも借りればいいだろ」

『僕は鼠ってこと?』

「・・・おお。お前、よわっちーからな。でも、頭はいいだろ。ぴったりじゃん。使えるもんはなんでも使えばいい。お前が得たものならな」




僕が得たもの。
それに芹川くんも入るってこと?
友だちだって、言ってくれてるってことだよね。





『ありがとう。芹川くん』





そう書いて見せると、芹川くんは「ケッ」って恥ずかしそうに笑った。




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