きみのおと
『聞いてほしい話があるんだ!』
次の日、さっそくしぃちゃんに声をかけた。
決心が鈍らないように。
「話?なになに?」
『あの、榎並さんも』
そう書いてちらっと見ると、目を丸くさせる榎並さん。
芹川くんは、シレッとお昼ご飯のパンを食べている。
「ここじゃしにくい話なら場所変えよう。暑くなってきたし中庭とか人いないと思うよ。そこいこっか」
「そうだね。芹川くんも・・・」
「俺はパス。移動めんどい、暑いのウザい」
「言うと思ったー。別に来なくていいでーす」
恒例のやり取りの後、芹川くんを置いて僕たちは中庭に向かった。
僕の心臓はドキドキと煩い。
芹川くんに話した時に感じた緊張よりずっとバクバクしている。
でも知ってほしい。
僕の筆談に付き合ってくれる二人に、ちゃんと訳を知ってほしい。
同情してほしいわけじゃない。
ただ、事実として知ってほしいだけ。