きみのおと


夕方の5時を回って、今日の勉強会を終えた僕らは靴箱を出て歩いていた。



「ね、芹川くん。芹川くんの事もさ、柊二くんって呼んでいい?ね、亜衣と千秋くんもそうしようよ」

「えっ、わ、私は・・・」

「いいじゃん。友だちになったんだもん。いつまでも名字じゃ寂しいじゃん」

「おい、勝手に話進めてんじゃねぇよ」




柊二くん・・・。
僕も、呼びたいな。




「それから、亜衣と柊二くんも千秋くんの事も千秋くんって呼んでさ。亜衣の事は皆亜衣って呼ぶの」

「なんでそんな呼び方に拘るんだよ」

「いいじゃん。もっとみんなと仲よくなりたいの!」

「は、恥ずかしいけど、頑張る・・・」




榎並さん、・・・じゃなくて亜衣ちゃんはそう言って頬を染めた。
僕も・・・、僕も皆の事そう呼べるように頑張る。
文字でだけど、それでも、そう呼びたい。




「ね、柊二くんも!」

「はぁ・・・。千秋に亜衣に、雫。これでいいんだろ」

「よ、呼び捨て!?」

「くん、ちゃん付けとか鳥肌立つ」




確かに、似合わないとは思うけど。



< 209 / 418 >

この作品をシェア

pagetop