きみのおと


「マジか・・・。千秋、お前やるな」

「嘘、千秋くんの声・・・。初めて・・・」




僕は信じられなくて固まったまま皆の顔を見る。
嘘じゃない。
僕の声が、皆に届いたんだ。



僕の声が、しぃちゃんに届いた。




「千秋くんの声、すごく綺麗・・・。嬉しいよぉ」



ポロポロと流す涙が綺麗で。
僕のためのその涙が、本当に愛おしくて。




「・・・ありがとう、しぃちゃん・・・」



小さく、囁くような声になっちゃったけど。
僕の言葉で、僕の声で思いが伝えられる。



もう、怖くない。
僕の声を、僕のすべてを笑う人は、ここにはいないから。




「千秋くんっっ!!」





ガバッと勢いをつけて抱きついてきたしぃちゃんを驚きながら受け止める。
こんなにも、自分の事のように喜んでくれる人、家族以外にきっと他にいない。


ああ僕は、幸せ者だ。





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