きみのおと
皆と別れ、僕は緊張しながら家の前に立つ。
ずっとずっと、悲しませてきたお母さんとお父さん。
お父さんは仕事だけど、お母さんは家にいるはず。
元気よく、「ただいま」って帰るんだ。
もう、大丈夫だよって言いたい。
心配かけてごめんねって謝りたい。
弱くてごめん。
でもこれから、強くなるから。
友だちができたんだ。
みんなのおかげで僕は、立ち直ることができたんだよ。
話したいことがたくさんある。
もう、帰った合図にチャイムを押さなくたって気づいてもらえる。
さあ玄関を開けて。
大きく息を吸い込んで。
知らせるんだ。
「っ、ただいま!!!」
張り上げるような声。
こんな声、とても久しぶりだ。
スッキリするような、そんな気持ち。
パタパタと奥から慌てたような足音が聞こえてくる。
扉が開き、お母さんが顔を出す。