きみのおと
「しぃちゃん?どうかした?」
夜の事を思い出していたら、亜衣が不思議そうに首をかしげる。
私はハッとして首を横に振った。
「ごめん、なんでもない。じゃあ、いこっか」
「うん」
亜衣が寝る直前に言ってたこと。
結局、亜衣の話はそれ以上なくて、誤魔化されちゃったけど・・・。
あれは、亜衣も恋に悩んでるってことでいいのかな?
その相手って・・・。
誰なんだろう。
亜衣が好きそうな人。
わからない。
亜衣のそういう話、本当にしてこなかったし。
聞いてもわからないって終わってたし。
どんな人が好きなんだろう。
私、亜衣の事もなにも知らないんだ・・・。
「晴れてよかったね」
「うん。そうだね。お出かけ日和だ」
青い空は、私の暗い気持ちも吹き飛ばしてくれるみたいだ。