きみのおと


「話ってなんだ。てか、なんで俺まで・・・」



近くのカフェに入って彼女と向き合う。
柊二くんは心底面倒くさそうな顔を見せると、彼女は申し訳なさそうに眉を下げた。




「すみません・・・。あの時、一緒にいた人だったので・・・」

「あの時って、遊園地のこと?」



私が尋ねると、彼女はコクリと頷いた。
あの時、私たちは彼女と話をしていない。
千秋くんと会話をした後、小さく私たちに会釈をしてはくれたけどそれだけだ。
それなのに、よく覚えてるんだな・・・。



「あの、私伊永皐月って言います。ちーくんとは小学校の同級生で、たぶん誰よりも仲良かったと思ってるんですけど」




少し恥ずかしそうに話を切り出す。
“ちーくん”その呼び方が、千秋くんとの距離を示している様で・・・。



「それで、どういう用なのかな・・・?」




なんだか胸がチクチクして思わずとげのある言い方をしてしまってドキッとする。




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