きみのおと
「でも、それはきっとずっと先だって安心してた。千秋くんに話しかけてくる子は増えたけど、千秋くんはまだ距離を置いている感じだし・・・」
こみ上げてくる感情が涙となって溢れだす。
「今はまだ、私の方が千秋くんに近いって、だから、安心してたの。誰よりも千秋くんの側にいることに、優越感感じてたんだ・・・!」
そんな風に、ちゃんと思ったことなんてない。
でも、あの子が現れて自分の立場が危ういって気づいて、今まで自分が抱いていた想いに気づいちゃったの。
私、千秋くんの側にいられることを、きっとそんな風に思ってたんだって。
私は誰よりも先に千秋くんの魅力に気づいたんだって。
「千秋くんは、私には笑ってくれるから。私の事は受け入れてくれるから。私だけだって自惚れてた。でも、違ったんだ。千秋くんの世界には、私だけじゃなかった。そんなの、当たり前なのに」
柊二くんはただ黙っていて。
私の溢れだす醜い感情を聞いてくれている。
「私、最低だ。千秋くんの事友だちだって・・・、ううん。好きだって思ってたのに。私、千秋くんの事そう言う風に見ちゃってたんだ」
見下してたつもりなんてない。
いつだって、同等で同じでありたいって思ってたはずなのに。