きみのおと
「いこ、柊二くん」
「は?・・・ああ」
柊二くんに声をかけ私はその場を去ろうとする。
「・・・千秋くん、また明日ね。バイバイ」
「え、あ、しーちゃん・・・?」
「行こう」
千秋くんに対して嫌な印象残したままは嫌だった。
なるべく笑顔で挨拶をして別れた。
千秋くんの友だちを嫌いになんてなりたくない。
でも、やっぱり、あの子は好きになれない。
それはきっと、あの子が千秋くんのことを好きなんじゃないかって思うから。
千秋くんを連れてっちゃうんじゃないかって、怖いんだ。
「お前、ほんと馬鹿だろ」
ずんずんと先を歩いていた私に投げかけられた言葉。
私は立ち止まり振り返る。
「なにがよ」
「反発した結果、あいつらを2人にしてどうすんだよ」
「だって!だって・・・」
そんなの、わかってるよ。
結局、自分が損してること。
今だって、千秋くんはあの子と2人。
仲を深めていってるんだから。