きみのおと


そんな私の醜い感情がどんどん露わになっていく。
それが怖い。



「そうだ、しぃちゃん。あの、もうすぐ期末テストでしょ?また一緒に勉強・・・」

「いい」

「え?」

「いい。勉強なら一人でできるし。それに、亜衣もいるから」



ギスギスしたこの感情で千秋くんといたくない。
咄嗟に、そう言っていた。




「それに、放課後は伊永さんも待ってるんじゃない?待たせたらかわいそうだよ」

「え・・・」

「毎日千秋くんの事、待ってるみたいだし」




そう、本当に毎日。
それが私の心を抉っていくの。


こんな自分嫌なのに。
もっと、心を広く持ちたい。

千秋くんが変わっていくことを心から喜べるような。
そんな自分でいたいのに。




現実は、うまくいかない。




「しぃちゃん・・・」

「それでも困ったときは、お昼休みとかに教えてほしいな」




悲しげな千秋くんの顔が見れなくて、誤魔化すようにそう言った。
千秋くんはしばらく黙り込んだ後、寂しげに「わかった」って答えた。




< 256 / 418 >

この作品をシェア

pagetop