きみのおと
「どこいく?」
「あの、映画・・・とか」
「いいね!映画いこう」
僕の提案にしぃちゃんはすぐに乗ってくれる。
それがしぃちゃんの優しさ。
「今なにがしてるのかな」
「あ、あの。磯田監督の映画があって。ラブストーリーなんだけど」
「うん。じゃあ、それにしよう」
「え?いいの?」
しぃちゃんは詳しく聞くよりも先にそう決めてしまった。
「いいよ。千秋くんよく本とか読んでたじゃん。だからきっと、千秋くんが選ぶものにハズレなんてないよ」
「買いかぶりすぎだよ」
「そんなことないよ。有名な映画?」
「小説を映画化したやつで、その小説は僕も好きで読んでたんだ」
「へえ、楽しみ」