きみのおと
もっとしぃちゃんを喜ばせたいと思う。
どうしたら喜んでくれるかな。
なにが好きなのかな。
考えることはしぃちゃんの事ばかり。
「千秋くんって、ほんと、優しいよね」
「え?優しいのはしぃちゃんだよ」
しぃちゃんはいつだって僕が優しいと言う。
でもそれは違うんだ。
僕は、嫌われたくなくて優しくすることで優しくされたいって思ってるだけ。
本当に優しいのは、こんな僕にめげずに話しかけてくれて友だちになろうとしてくれたしぃちゃん。
僕は、そんな本当の優しさを持ちたい。
「優しいよ、千秋くんは」
「しぃちゃんに、好きでいてほしいからだよ」
「それなら私だって同じだよ。千秋くんに好きって思ってもらいたいから優しくするんだよ」
僕は、しぃちゃんにちゃんと返せるかな。
これまでもらった優しさ全部。
もっと強くなりたい。
しぃちゃんを護れるような。
もっと強くなりたい。
しぃちゃんに頼られるような。
“女々しい”僕は、もう脱ぎ捨てるんだ。