きみのおと

大好きが溢れたら



・・・遅い。



片づけに、どれだけの時間を要しているんだろう。
部屋で待機してかれこれ15分。


せっかちすぎるかな。
でも、しぃちゃんが帰るまでの時間がコクコクと短くなっていく。



「・・・お茶とるついでに見に行こうかな」



自分がこんなにも、せっかちだったなんて。
落ち着かない気持ちをどうにか落ち着かせるため様子を見に行くことにした。

リビングが近づくと、リビングからは水の音と喋り声が聞こえてくる。
まだ片づけは終わっていないようだ。



和やかな雰囲気。
しぃちゃんは、本当に誰とでもすぐ打ち解けることができるんだ。

あまり自分から人と関わっていく方じゃないって言っていたけど、それでも、しぃちゃんの友だちが多いのはきっとそういう人柄のせいだろう。



「・・・本当に、感謝しているの」



和やかな雰囲気の中、お母さんの真剣みを帯びた声が聞こえてきた。
ドアノブに伸ばした手を止め、その言葉の続きを待つ。




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