きみのおと
「だからこそ、綺麗で純真な千秋くんに惹かれたんです」
「雫さん・・・」
「きっと、千秋くんをいじめてた人も、そんな千秋くんが羨ましくて嫉妬したんですよ。だからって許されることじゃないけど」
しぃちゃんが見る世界は優しくて。
「だから、今度千秋くんをいじめる人がいたら言ってやるんです。悔しかったら千秋くんみたいに綺麗で純粋な心を持ってみろって」
「・・・ありがとう。雫さん」
「ご、ごめんなさい。偉そうなこと言って・・・」
「ううん。そんなことないわ」
あ・・・やばい。
込み上げてくるものに抗えそうになくてその場を立ち去る。
なんでこんなに温かいんだろう。
胸が、身体が。
温かくて満ち足りていて堪らないんだ。
僕を傷つけるのが人ならば、僕を幸せにしてくれるのも人だった。
なんで素晴らしいものを得ることができたのだろう。