きみのおと


しばらく眺めていると打ち終わったのかスマホを差し出した。
それを受け取り画面を見る。




『メロンパン。半分こしよう』



短く、そう打たれてあった。
一個しかなかったの、気にしてるのかな。



「それは、久賀くんが買ったやつなんだから、久賀くんが食べたらいいんだよ。一個しかなかったのは残念だけど、私は前にも食べたことあるし。久賀くんに食べてほしくて連れて行ったんだから」




私はそう言って応えるけど、久賀くんは首を横に振る。
久賀くんって、結構頑固なのかしら。



「・・・じゃあ、近くに公園があるから、そこで一緒に食べる?」





私が折れてそう言うと、ホッとしたように久賀くんは頷いた。
ほんと、頑固!


でも、一緒にいる事が許されたみたいで少しうれしい。
私たちは近くの公園に向かった。



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