きみのおと


「待たせてごめんね」

「ううん。お母さんとなんの話したの?」



部屋にしぃちゃんが戻ってきて、ようやく落ち着いて二人で話ができる。




「千秋くんがいい人だなって話」

「なにそれ。褒めてもなにもでないよ」

「いらないよ。十分もらってるから」



にっこりと笑ってしぃちゃんがそう言った。
幸せに胸が苦しい。



「しぃちゃんが僕を救ってくれたんだよ。しぃちゃんに出会う前は人を恨んで自分はかわいそうだって悲劇ぶってたから」

「え?そんなことないでしょ?千秋くん最初から素敵な雰囲気放ってたよ」



しぃちゃんの言う素敵な雰囲気ってなんだ・・・?
僕にはよくわからないけど、しぃちゃんは僕を買いかぶりすぎだ。




「それに、千秋くんが立ち直れたっていうならそれは、千秋くんが頑張ったからだよ」

「しぃちゃん・・・」

「千秋くんが、また人と関わろうって頑張ったから、今の千秋くんがいるんだよ。私はただ、千秋くんと友達になりたくて自分のために動いていただけだもん」





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