きみのおと
「千秋くん。もう、僕なんかって言わないで。千秋くんは、本当に素敵な人だよ」
どうしてしぃちゃんは。
僕の欲しい言葉をくれるんだ。
僕の欲しい言葉をくれて、温かく包んでくれる。
「千秋くんほど、純粋で、気持ちを真っ直ぐにぶつけてくれる人、なかなかいないよ」
「・・・しぃちゃんだから。しぃちゃんには、嘘つきたくないんだ」
「はぁ・・・。もう!そういうところ!胸がキュンってキュンってなるでしょ!」
顔を真っ赤にさせたしぃちゃんは照れ臭そうに顔を覆う。
可愛い・・・。
「しぃちゃんも、素直な気持ち伝えてくれるでしょ。同じだよ」
「私のは・・・、打算とか、ずるい気持ちとか、いろいろあるんだよ・・・」
「僕だってそうだよ」
「そういうのいいから。違うのわかるから」
ふて腐れたような顔。
だから、買いかぶりすぎなんだけどな・・・。
僕だって、ずるい人間だって思う。
全てを人のせいにして、殻にこもってたんだから。
それを救い出してくれたしぃちゃんこそ、本当にいい人だって思うのに。