きみのおと


「邪魔しちゃったかしら?」

「・・・そんなことないから!これ、ありがと!」



無邪気にそんなことを言うお母さんに慌てて声を荒げると押しやるように部屋から出した。
ほんと、お母さんたら・・・はしゃぎすぎだよ。




「ご、ごめん、しぃちゃん・・・。お母さん、きっと嬉しいんだと思う」

「う、ううん。全然!優しくてかわいらしいいいお母さんだよね」



上ずった声でそういうしぃちゃん。
少しだけ気まずい空気が流れる。



キス・・・できなかった。
仕切り直して、なんて勇気はもうない。



好きすぎて、愛しすぎて衝動的に起こした行動だったから。




「食べよっか。せっかくだし」

「うん。ありがとう」




本当は、触れたかった。
邪魔が入らなければよかったのに・・・なんて、思った。




「美味しい」

「うん。本当だね」




しぃちゃんは、もしかして、ホッとしてるだろうか。




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