きみのおと


そのパン屋に入ると、中もとても可愛らしい装飾。
中にあるパンは種類こそ多くはないけど、とても美味しそうなものばかりだ。



「あら、柊くん。いらっしゃい」

「・・・ああ」


店員の女の人が柔らかい笑顔を浮かべ親しげに話しかけてきた。
店員さんとももう顔見知りなんだ。

そこまで通い詰めてるって事?



「いつものでいい?」

「ああ。あと、あいつにもオススメのやつを」

「あら、柊くんのお友達?初めてね、連れてくるの」

「うっせ」




少し照れたような柊二くんの表情。
初めて連れてきてくれたんだ。
なんだか、嬉しい。



「君、名前は?」

「え、と、久賀千秋です」



明るく笑いかけてくれる女の人は、どこかしぃちゃんを思い出した。
なんだか、似てる・・・?



「私、春間由紀子(はるまゆきこ)。よろしくね」

「はい。お願いします」



恥ずかしく俯きながら答えた。



< 301 / 418 >

この作品をシェア

pagetop