きみのおと
「ちーくんなら、私を助けてくれるって思ったのに・・・」
「え・・・?」
今にも泣き出しそうな雰囲気で、皐月ちゃんがそう言った。
助けるって、どういうこと?
「・・・私、学校でいじめられてるの」
「・・・・え・・・・」
ピクッと身体が震える。
いじめ、というその単語は僕の心臓を鷲掴みにする。
「ちーくんなら、私の苦しみわかってくれるって、助けてくれるって思って・・・」
「皐月ちゃん・・・」
「それなのに・・・、酷いよ・・・」
ドクン、ドクン。
あんな思い、もう嫌だ。
皐月ちゃんが、同じ思いをしてるっていうのか・・・?
そんなの・・・。
「お願い・・・、側にいてほしい・・・」
「・・・わかった」
痛みがわかるから。
だからこそ、放っておけない。
あの痛みを。
もう思い出したくもないのに。