きみのおと
「久賀くんって、部活何かやってる?」
そういえば、と聞きたいことを聞くことにした。
拒まれることを怖れてたらなにも聞けないし。
久賀くんを見上げれば首を横に振る。
「そっか。まぁ、私も帰宅部なんだけどね」
一方的に私がしゃべっているだけ。
それでも、久賀くんはちゃんと聞いていてくれてるのがわかるから。
「家ってこっち方面なの?」
次にそう問いかけると、久賀くんは首を横に振って指で方向を指した。
それは学校がある方面。
「え、もしかして反対方向?」
聞けば、頷く久賀くん。
メロンパンのためにわざわざ反対方向に来たんだ。
「本当にメロンパンが好きなんだね」
私の呟きに、照れくさそうに肩をすくめた。