きみのおと
思い出す、あの日の事。
僕が、ボロボロんなって、言葉を手放したあの日。
僕も、こんな風に包帯で巻かれてた。
「・・・それで、」
「ぐすっ、私が生意気だって。今までは陰口とか、物隠されたりとかだったのに、突然・・・」
「そ、か・・・」
僕の時も、だんだんとエスカレートしていた。
やめて、なんて言えなくて。
ただ、耐える日々。
「あの、誰かに相談できないのかな?僕じゃなくて、学校の先生とか、・・・ご両親とか」
「どうしてそんな事言うの?ちーくん、力になってくれるって言ったのに」
「そ、そうだけど。でも、僕じゃいじめ自体をどうしてあげることもできないから」
相談なんて、なかなかできる事じゃないってことくらいわかってる。
僕だって言えなかった。
お母さんにだって、心配をかけたくなかったからギリギリまで黙ってた。
だから、言えない気持ちは痛いくらいわかる。
でも。
誰かに助けを求めなくちゃ、現状が変わらないことも確かだから。