きみのおと
「ちーくんが側にいてくれるだけでいい。誰にもわかってもらえなくていい」
「皐月ちゃん・・・」
頑なな皐月ちゃんに、なにも言えなくなる。
それじゃあダメなのに。
なにも解決なんてしないよ。
「そのケガだって、もう立派な犯罪だよ。警察に言ったって・・・」
「いや!そんなことしたら、余計ひどい目に遭うよ!」
「その気持ち、わかるけど・・・」
僕だって、それが怖くて頑なに自分の不注意だって言い張った。
現実には声が出なかったから書いて必死に伝えたんだけど。
だから、僕のケガに関しては結局うやむやになって。
それでもいじめの現状がそれで浮き彫りになったから、主犯格の子たちは自宅謹慎になったって聞いた。
僕はケガのせいでしばらく休んでいたからよく知らないけれど。
それに、そんな事知りたくもなかった。
もう心を閉ざしてしまっていたから。
皐月ちゃんが、そうなってからじゃ遅いんだ。
僕みたいになってほしくない。
あんな思い。