きみのおと
大丈夫。
なんでもないよ。
そう言って笑って見せたけれど。
本当は、大丈夫なんかじゃなかった。
その日も、その次の日も、皐月ちゃんは僕を待っていて。
僕に泣きつくんだ。
助けてって。
ちーくんしかいないって。
その度に、僕なあの頃の事を思い出して苦しくなって。
皐月ちゃんの力になりたいって気持ちと、思い出してしんどい気持ちがグルグルして。
うなされて、目が覚めて、夜も眠れなくなって。
こんなに弱い自分、大嫌いだった。
しぃちゃんに出会って、少しは強くなれたって思ってたのに。
ただの、自惚れだった。
僕は、弱い。
「・・・何があったのか、ちゃんと話して」
ついに、しぃちゃんにも隠しきれず、そう詰め寄られてしまった。