きみのおと
「・・・な、にが?」
「しらばっくれないで!見てたらわかるよ!千秋くんが無理してること!日に日に顔色悪くなって笑わなくなってる」
「そんな事・・・」
ない、なんて言いきれなくて。
もう繕う事もできないくらいには、追い込まれていた。
本当は、気づいてほしかった。
助けてって思ってた。
でも、しぃちゃんに甘えてばかりじゃ情けなくて。
「悲しいよ。私、千秋くんの彼女なんだよね?悩んでることも言えないくらいに頼りない?」
「そんなこと!」
「じゃあ、なんで隠してるの?」
「・・・それ、は・・・」
でも僕は、いつだってしぃちゃんを頼ってばかりで。
頼りないなんて思ったことない。
「あの女だろ」
側で黙って聞いていた柊二くんが口を開いた。
あの女・・・、柊二くんは何かを知ってる?
「あの女って?」
しぃちゃんが柊二くんを見て問う。
「遊園地であった女。同級生っていう」
「・・・えと、皐月ちゃん・・・?だっけ」
トクン、と胸が鳴る。