きみのおと
暗闇へと
「本当に良かったの?」
「大丈夫。ペアの藤村くんにもオッケーもらったし。もうほとんど終わってるから」
「そっか・・・ごめんね」
しぃちゃんは委員会を休んで僕に付き合ってくれることになった。
僕は、申し訳ない気持ちでいっぱい。
しぃちゃんは笑ってくれるけど。
「ちーくん!」
いつもの辺りでいつもの声。
視線でもその姿を捉える。
「皐月ちゃん・・・」
相変わらずその体には包帯が巻かれている。
胸が苦しい。
でも今は、隣にしぃちゃんがいてくれるから。
「久しぶり、皐月ちゃん」
「な、なんで雫ちゃんがいるの?」
一気に不機嫌な雰囲気が纏う。
それでもしぃちゃんはめげることなく笑顔を見せ話しかける。
「ごめんね、千秋くんに話を聞いてなにか力になれたらなって思って」
「なんで?ちーくん喋ったの?私ちーくんだから話したのに!」
「ご、ごめん。でも、同性のほうが話しやすいこともあると思って私が聞き出したの」
皐月ちゃんはしぃちゃんに話しかけられても、その答えを僕にぶつけてくる。
僕は言葉が詰まって、何も言えない。
しぃちゃんはそんな僕の代わりに、間に入って庇ってくれようとする。