きみのおと


月曜になって、僕はしぃちゃんに気づかれる前に教室を出た。
しぃちゃんをやっぱり巻きこめない。

僕が関わっちゃったから、この状況は作られていて。

やっぱり、ちゃんと断らなきゃいけなかった。



皐月ちゃんのことは心配だけど、僕にはしぃちゃんがいるから。
相談には乗るけど、それはやっぱり家族とかもっと現実的に力になれる人の方が絶対にいいから。

ちゃんと話してわかってもらおう。



皐月ちゃんの着ていた制服を頼りに、皐月ちゃんが通っているであろう学校に向かった。
今日は校門にはいなかった。

この間の事で来づらくなっているのかもしれないけど。
もしかしたら、まだ学校にいるのかも。


今日は、ちゃんと最後まで学校に通えたのかもしれない。




校門から出てくる生徒を眺める。
制服は皐月ちゃんが着ていたものと同じだった。
ここで間違いないみたいだ。



でも、どうしよう。
学校にいるか、いないかも確かめようがない。



勢いでここまで来てしまったけど・・・。



なにも考えてなかった。





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