きみのおと
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放心したまま、道を歩く。
よく、わからない。
どういうこと、なんだろう。
「・・・いた、千秋くん!」
家の近くまで帰ってきたところで心地のいい声が聞こえた。
顔をあげると、しぃちゃんがとても心配そうに眉を下げこちらに向かってきていた。
「どこに行ってたの!?なにも言わずに一人で帰っちゃうし!心配したよ!」
「・・・っ」
ごめん――――、そう言いたかったのに、喉がキュッとしまったように声が出なかった。
あ、あれ・・・。
「・・・し、しぃちゃ・・・」
次の瞬間、声は出るようになってて、ホッとする。
なんだったんだろう・・・。
「どうしたの?何か、あった・・・?」
「え?あ、ううん・・・。なんでも、ないよ」
僕はそう言ってごまかした。