きみのおと
「私、少女漫画が大好きで。過去に傷ついた心を献身的な関わりで癒した主人公と結ばれてハッピーエンドが大好物なの」
「・・・ウソ、怪我・・・してない・・・」
しぃちゃんが、驚愕の声を上げる。
「現実、そんなのなんてそうそうないし。でも、偶然前住んでたところにいったら、噂聞いたの。中学で、ちーくんがいじめられて声が出なくなったって」
「・・・っ」
「黙れ!」
柊二くんは、慌てたように止めようとする。
でも、皐月ちゃんはそれをかわし話し続けた。
「チャンスだって思うでしょ?だって、私が夢見てたシチュエーションがそこにあるんだよ。好都合にも、私はちーくんとは顔見知りだったし」
「・・・意味が、解らないんだけど・・・」
「だから、私が現れて、傷ついたちーくんを救いだしてあげようって。そう思ったのに。・・・偶然を装って出会ったちーくんはもう喋ってて、その隣にはあんた、二ノ宮雫がいた!意味わかんない。調べたらあんたが私がしようとしてたことを奪ったって知った。気に入らない!」
「なに、言ってるの・・・?そんな勝手なこと・・・」