きみのおと
「せっかく、せっかく、千秋くん笑ってくれるようになって、綺麗な声も聞けるようになったのに・・・。それなのに、また元通り・・・。ううん。もっとひどい状況になっちゃった・・・」
「またお前が、立ち直らせればいいだろ」
「・・・できるかな」
「お前なら、きっとできるだろ。あいつ、お前の事大好きだからな」
慰めてくれる柊二くんは、なんだからしくなくて。
らしくない柊二くんに、私は少し救われて。
なにができるだろう。
一からまた考えよう。
千秋くんの側にいたい。
その気持ちは変わらないのだから。
「それでも、やっぱり、皐月ちゃんのことは許せない」
「あいつへの憎しみはなにも生まない。お前はお前のままであいつの側にいてやれ」
「わかってる、でも!」
憎くて、許せなくて、悔しくて。
どうしようもない感情が渦巻いて。
自分で感情を制御できない。
理不尽な思いで踏みにじられたこれまでの道のり。
千秋くんの努力とか、私たちの辿ってきた道とかすべて奪われてしまったみたい。
なんでこんな風に傷つけられなくちゃいけなかったの。