きみのおと
千秋くんは顔を上げないまま小さく頷く。
こっちを、見てくれない。
前は、それでもちゃんとこちらを見てはくれたのに。
「千秋くん、おはよう。体調はもう大丈夫なのかな?」
亜衣も少し戸惑ったように声をかける。
それにも、千秋くんは小さく頷くだけ。
これでめげてたらダメだよね。
それだけ、傷ついたってこと。
少しでも、その傷が癒えるように私が頑張らなきゃ。
「昨日の授業のノート、亜衣が作ってくれてるから安心してね!」
「うまくまとめられてるか自信はないんだけど」
「私よりは絶対わかりやすいから大丈夫だよ!」
めげずに話しかけるけど、千秋くんはなにも反応してくれなかった。
私と亜衣は顔を見合わせた。