きみのおと


「この階、クラスもないし、移動教室の部屋ばっかだから静かだね」



学校なのに、シンと静けさが漂う空間に少しドキドキする。
私たちは椅子には座らず、教室の後ろに隣り合ってじかに座った。




「なんだか、久しぶりだよね。こうやって二人で会うの。なんだか緊張するね」



静かな教室がソワソワ落ち着かなくて、話を切り出す。




「あ、あの、今度さ、またパン屋に行こうよ。ほら、今度はちょっと遠出とかして違うパン屋を開拓したり」




ドキドキを誤魔化すように話し続ける。
千秋くんの反応を見る余裕がない。




「あ、パン屋じゃなくても、遊園地とか水族館とか・・・そういうところで・・・も・・・」




そう言いながら千秋くんを見ると千秋くんはまっすぐ私を見ていた。
ずっと俯いていた千秋くんの瞳を久しぶりに見た。


それはまっすぐ、迷いのない瞳で。
引きこまれてしまいそうだった。




「ち、千秋くん・・・?」





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