きみのおと
千秋くんはこちらを見ようとせず、ノートにペンを走らせている。
「なにか、しちゃったなら言って欲しい。ちゃんと、直すようにす・・・」
『もう好きじゃなくなった』
差し出されたノート。
その文面を読んで、私はもうなにも言えなくなった。
どうしようもない。
感情がないなんて言われたら・・・。
それは、どうすることもできないじゃん。
なにが、いけなかったのかな。
どうしたら、よかったのかな。
なにも言えなくなって、溢れるのは涙。
ポロポロと溢れる涙はとめられなくて。
「っ、・・・ふっ・・・」
嗚咽が漏れ、顔を伏せた。
しばらくすると、千秋くんは立ち上がり、教室を出て行ってしまった。
しかたない。
もう、千秋くんは私のこと迷惑なんだから。
好きじゃないって、そういうこと。