きみのおと


千秋くんはこちらを見ようとせず、ノートにペンを走らせている。




「なにか、しちゃったなら言って欲しい。ちゃんと、直すようにす・・・」





『もう好きじゃなくなった』




差し出されたノート。
その文面を読んで、私はもうなにも言えなくなった。



どうしようもない。
感情がないなんて言われたら・・・。

それは、どうすることもできないじゃん。




なにが、いけなかったのかな。
どうしたら、よかったのかな。




なにも言えなくなって、溢れるのは涙。
ポロポロと溢れる涙はとめられなくて。


「っ、・・・ふっ・・・」



嗚咽が漏れ、顔を伏せた。
しばらくすると、千秋くんは立ち上がり、教室を出て行ってしまった。



しかたない。
もう、千秋くんは私のこと迷惑なんだから。
好きじゃないって、そういうこと。



< 347 / 418 >

この作品をシェア

pagetop